【コラム】夢は気軽に聞いちゃいけないかも…。
私は時折、家族に将来の夢は何かと尋ねることがあります。
ありがちなのは家族で外食をしている時、「じゃんけんで勝った人から時計回りに言おう!」と話を振るパターンが多いです。我が家では結構盛り上がります。批判もしませんし、求められない限り意見も言いません。「なりたい職業」でなくても構いません。その時々の思いを受け容れつつ、その話をネタにワイワイ盛り上がろうというスタンスです。
次男が幼い頃に語っていた夢は、かなり印象に残っています。
次男が3歳頃に「大きくなったら何になりたい?」と聞いてみたところ、「電信柱になりたい」という答えが返ってきました。当時の次男は年齢が小さすぎて語彙力がなく、なぜ電信柱になりたかったのか、よく分かりませんが、ムチャクチャ面白い発想だなと思いました。
そのうち「みかんになりたい」と言うようになりました。こちらも理由は不明。
そして幼稚園に通っている頃に「バッタになりたい」と言いました。この頃くらいになると理由も言えるかなと思って、「なんでバッタになりたいの?」と尋ねてみたところ、「草をムシャムシャ食べてみたいから」と答えてくれました。
小学生になって、初めて「八百屋になりたい」「プラモデル屋になりたい」と、職業が出てくるようになり、高校1年生の現在は迷走中です。
夢は子供だけが持つものではなく、大人だって持っていいと思います。私は現在54歳ですが、54歳には54歳なりの夢があっていい。
夢にはいろいろありますが、「夢」に「社会貢献性」が加わると「志」となると聞いたことがあります。夢を持って生きることって大切だと思いますが、私はできればいくつかの夢と一緒に、志を持って生きていきたいと思っています。
そう思うようになったきっかけは、30代前半の頃に勤めていた会社のメンバーがこういう話が好きで、懇親会の場でお互いに夢や志を楽しく語り合う社風に影響を受けたことです。
私にとっては、夢を尋ねられて考えたりお話することは楽しいし、他人の夢を聞かせていただくことも楽しいひと時です。夢が見つかっていない人でも、夢について尋ねられることが「夢について考えるきっかけ」になるので、家族にも聞くし、スタッフにも聞いたりしていましたが、時折クレームが入るようになりました。
よくよく気をつけてみると、夢について聞かれたくない、話したくないという人が結構な割合でいるようなんです。
先日もスタッフのご家族を交えた懇親会がありましたが、事前にスタッフから「子供に夢を聞かない方がいいですよ。」とアドバイスを受けました。子供といっても高校1年生の女の子。確かに親がいる前で言いたくないこともあるよなぁと納得。
夢を聞くということは、夢があった方がいいという前提。でも、夢が見つからないことがコンプレックスになっている人もいたり、夢について本気で考えると今の生活や職場を変えなくてはならず、それが怖くて夢について考えたくない人もいるかもしれません。他にも「親しくもないのになぜ心の奥底に秘めていることを言わなければならないのか?」など、さまざまな思いがある可能性に気がつきました。
そういう背景があるかもしれないことに配慮せず、夢は何か?と尋ねると、「夢を語れハラスメント」「志を語れハラスメント」と言われる時代になっているのかもしれません。気をつけねば。
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