【最新判例】職種限定社員に対する配置転換
社会福祉法人 滋賀県社会福祉協議会の運営施設で働いていた元職員が、職種限定の合意があったにもかかわらず、配置転換を命じたことは違法だとして同協議会に110万円の賠償を求めた訴訟の上告審判決がありました。
最高裁は2024年4月26日、職種限定合意がある場合は同意のない配転を命じる権限はないとの初判断を示しました。
命令を「適法」とした二審大阪高裁判決を破棄し、審理を差し戻しました。
判決などによると、元職員は2001~2019年の約18年間、福祉用具の改造や製作を主な業務内容とする技術職として働いていました。同協議会との間には技術職として働く暗黙の合意がありましたが、2019年3月、元職員の同意がないまま総務課の施設管理担当に配転させる人事が発表されました。元職員は撤回を要求したものの、協議会は要求を受け入れず、元職員はその後退職した。
二審判決(=高裁の判決)は、配転命令には男性の解雇を回避する目的があったとして、総務課への異動には合理的な理由があると判断しており、一審判決(=地裁の判決)に続いて配転は有効とし、元職員の請求を退けていました。
一方、最高裁の判決では、協議会は元職員の同意を得ておらず、配転を命じる権限はなかったと指摘し、命令を適法とした二審判決には法令違反があると判断しました。その上で、損害賠償の対象となり得るかなどについてさらに審理させるため、大阪高裁に差し戻しました。
最近、「職種限定正社員」「地域限定正社員」「短時間正社員」といった「限定正社員」が増えていますが、いったんこれを認めると、本人の合意がない限り、覆すことが難しいことがハッキリ致しました。
会社としてのリスクヘッジ策としては、限定する期間をつけたり、限定を解除する理由をつけるなど、合理的な条件つきで限定正社員を認めることが必要と思われます。
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