【コラム】義父が旅立ちました。

今月23日、義父が老衰により永眠致しました。享年89歳でした。

大病を患うこともなく過ごしておりましたが、2年前に脳卒中で倒れたことをきっかけに右半身がほぼ不随となりました。体が思うように動かなくなって以来、家にいることが多くなり、それに伴い体力・筋力も徐々に衰えていきました。

義父は病院で過ごすことが性に合わず、自宅で最期を迎える選択をしました。

そんなに重い布団でもないのに「暑い、暑い!」と言って掛け布団をかけようとせず、着ているパジャマも脱ごうとします。体は冷たいのに…。

食べる量も徐々に減り、亡くなる1週間前くらいからは1日1回、イチゴ1粒とミカン3切れ程度。

23日は祝日ということもあり、孫を含めた家族全員が集まっていました。

朝、義父の様子を見に来た看護師さんが「そろそろです・・・」と教えてくれて、近所に住んでいる親戚の人達もやってきました。

家族と親戚、総勢7人で義父のベッドの周りを囲みます。弱々しい息しかできなくなっている義父。まもなく旅立ちの時がやってきそうだということを肌で感じます。

何か最後に一言伝えたい。家族一人一人が義父に声をかけました。「お父さん、ありがとう。」「おじいちゃん、ありがとう。」出てくる言葉は「ありがとう」ばかり。

もう声が出なくなり、右手が不自由な義父は最後の力を振り絞って、左手でベッドに囲む人たちを指さしてから、拝むような動作をしました。

「みんな、ありがとう。」

きっとそういうことを伝えたかったのだと思います。死ぬ間際にみんなに伝えたいことは感謝だったかと思うと、涙が止まらなくなりました。

そしてその後、義父はボタンが外れたパジャマを気にして、ボタンをはめようとし、ずり落ちているズボンを元の位置に戻そうとしました。

家内がその様子を察し、ボタンを留め、ズボンを持ち上げるのを手伝いました。きちんとした格好で最期の時を迎えたいと思ったのだと思います。

ただでさえ弱々しい息だったのに、息と息の感覚が開いていき、スーッと息をしなくなりました。

「ついにその時が来たか!?」と思ったその瞬間、「フゴッ!」と音を立てて息をしました。

思わず「ドリフのコントか!?」とツッコミを入れたところ、みんなが大笑い。大笑いしているうちに、義父は旅立っていきました。


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