雇用保険、改正の方向性

2024年1月12日に開催された労働政策審議会職業安定分科会で配布された資料に、改正雇用保険法の方向性が記されておりました。

確定ではありませんが、ポイントを皆様にご案内します。

一 雇用保険の適用対象者の範囲の拡大

  1. 1週間の所定労働時間が10時間未満である者について、雇用保険法の適用除外とすること。
  2. 基本手当の被保険者期間の計算に当たっては、賃金の支払の基礎となった日数が6日以上であるもの又は賃金の支払の基礎となった時間数が40時間以上であるものを1箇月として計算するものとすること。
  3. 基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の下限額を1,230円とすること。
  4. 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合の基本手当の減額等に関する規定を削除するものとすること。

二 基本手当の給付制限の見直し

雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練(注1)を受ける受給資格者(正当な理由がなく自己の都合によって退職した者に限る。)にあっては、当該教育訓練を受ける日以降(離職日前1年以内に当該教育訓練を受けたことがある者にあっては、待期期間の満了後)、失業している日について、基本手当を支給するものとすること。

(注1)教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練、公共職業安定所のあっせんにより受講する公共職業訓練等とする予定〔省令〕。

三 就業促進手当の改正

  1. 職業に就いた受給資格者(安定した職業に就いた者を除く。)であって、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上であるものに対して支給される就業促進手当を廃止するものとすること。
  2. 安定した職業に就き就業促進手当の支給を受けた者であって、同一の事業主の適用事業にその職業に就いた日から引き続いて6箇月以上雇用される者のうち一定の要件を満たした者に対して支給される就業促進手当の支給限度額を、基本手当日額に基本手当の支給残日数に相当する日数に10分の2を乗じて得た数を乗じて得た額とすること。

四 教育訓練給付の改正

1.教育訓練給付は、教育訓練給付金及び教育訓練休暇給付金とすること。
2.教育訓練給付金の額について、一般被保険者又は一般被保険者であった者が教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の20以上100分の80以下の範囲内において厚生労働省令で定める率(注2)を乗じて得た額とすること。

(注2)専門実践教育訓練給付金の給付率について、教育訓練修了後、資格取得等し、当該教育訓練受講前に比して賃金が5パーセント以上上昇した場合は100分の80とし、特定一般教育訓練給付金の給付率について、教育訓練修了後、資格取得等した場合は100分の50とする予定〔省令〕。

3.教育訓練休暇給付金の創設

(一)

一般被保険者が、職業に関する教育訓練を受けるための休暇(以下「教育訓練休暇」という。)を取得した場合に、当該教育訓練休暇を開始した日(以下「休暇開始日」という。)から起算して1年内の教育訓練休暇を取得している日について、当該一般被保険者を受給資格者と、休暇開始日の前日を受給資格に係る離職の日とみなした場合に支給されることとなる基本手当の日額に相当する額の教育訓練休暇給付金を、特定受給資格者以外の受給資格者に対する所定給付日数に相当する日数分を限度として、支給するものとすること。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでないものとすること。

イ 休暇開始日前2年間におけるみなし被保険者期間が、通算して12箇月に満たないとき

ロ 当該一般被保険者を受給資格者と、休暇開始日の前日を受給資格に係る離職の日とみなした場合の算定基礎期間に相当する期間が、5年に満たないとき

(二)

基本手当の支給に当たって、教育訓練休暇給付金の支給を受けたことがある場合には、休暇開始日前における被保険者であった期間は被保険者期間に含めないものとし、休暇開始日前における被保険者であった期間及び当該給付金の支給に係る休暇の期間は算定基礎期間に含めないものとすること。

(三)

教育訓練休暇給付金の支給を受け、休暇開始日から当該給付金の支給に係る休暇を終了した日から起算して6箇月を経過する日までの間に特定受給資格者となる離職理由により離職した者(受給資格者を除く。)に対して基本手当を支給することとし、その所定給付日数は90日(身体障害者等の就職困難者にあっては、150日)とすること。

4.教育訓練支援給付金の改正

教育訓練支援給付金の額について、賃金日額に100分の50から100分の80までの範囲で厚生労働省令で定める率を乗じて得た金額に100分の60を乗じて得た額とするとともに、令和9年3月31日以前に教育訓練を開始した者に対して支給するものとすること。

中野人事法務事務所ブログ

中野人事法務事務所より人事・労務に関連する情報などをお届けします。