厚生労働省による年収の壁対策(配偶者手当編)
厚生労働省は、いわゆる年収の壁対策の一環として、配偶者手当(配偶者を対象とした家族手当)の見直しを働きかけています。
配偶者を対象にした家族手当を設けている大半の会社では、配偶者が所得税法上の被扶養者である場合に手当を支給する定めになっています。
年収103万円を超えると所得税が発生し、かつ、配偶者手当がもらえなくなるとなると、結構高いハードルになるため、この壁の高さを低くしたいと厚生労働省は考えているわけです。
そこで、厚生労働省は「配偶者手当を見直して若い人材の確保や能力開発に取り組みませんか?」というパンフレットを作成しました。
厚生労働省が示す具体案として、次の案が紹介されています。
- 配偶者手当の廃止(縮小) + 基本給の増額
- 配偶者手当の廃止(縮小) + 子ども手当の増額
- 配偶者手当の廃止(縮小) + 資格手当の創設
- 配偶者手当の収入制限の撤廃
収入制限の撤廃案を選択する企業は少ないように思います。
配偶者手当を廃止して、その分基本給を増額すると、配偶者手当をもらっていない人は基本給が増えないわけですから、不公平感の払拭がセットになりますね。
子供手当や資格手当の組み合わせ案も似たようなものでして、子どもがいない人や資格がない人にとっては単に減るだけになってしまうことを、どう説明するか。
さらに、配偶者手当は通常、残業代の単価に入りませんが、基本給の増額や資格手当の創設案の場合、残業単価に入れることになるため、残業代がこれまでよりも高くなることも考慮に入れる必要があります。
ないものを新たに作ることは難しくないのですが、あるものをなくすというのは、不利益変更の問題などが絡んでくるので、結構難しいです…。
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