【コラム】おひさま

大昔の日本では、大切にされていた言葉が3つあるそうです。それは「ひ」と「ち」と「み」。

今回はその中から「ひ」をご紹介します。

「ひ」のイメージの根っこは「おひさま」(太陽)です。あえて漢字で表現すれば「御日様」。「ひ」の前に「御」、「ひ」の後に「様」をつけるくらい、日本人にとっておひさまは大切な存在でした。

宿泊を伴う登山をしていますと、寒い中、山小屋の前で日の出を見ようと多くの人が夜明け前に起きて、おひさまを待ちます。中には手を合わせる人もいます。「御来光を拝む」という行為です。ここでも「御」がついていますし、おひさまは「拝む」対象でもあります。

日本の神話によく出てくる「天照大御神」(あまてらすおおみかみ)。「天を照らしている」神様ですから、天照大御神は太陽神。日本の神社の代表格である伊勢神宮の御祭神です。

おひさまは私達に光と熱を与えてくれる存在。でもきっと、古代の人は物理的な光と熱だけではなく、目に見えない生きるパワーをも与えてくれる存在だと信じていたように思います。

この「生きるパワー」である「ひ」を漢字で表現すると、「日」ではなく「霊」。「幽霊」を思い出す漢字でもあり、おどろおどろしい印象もありますが、この場合の「霊」は「霊峰」「霊泉」「霊長類」などに使われる場合の「霊」をイメージしていただくとよいでしょう。

この「生きるパワー」である「霊」(ひ)を受け「止」める存在が「霊止」、つまり「ひと」です。また、これが男の子ですと、「霊子」(ひこ)、女の子ですと「霊女」

(ひめ)となります。今でいう「人」「彦」「姫」の語源だと言われています。

まぁ、昔の日本語の語源は確定しているものはほぼありません。縄文時代や弥生時代にも日本語は話されていたはずですが、その頃に書かれた日本語の記録が残っていないので、さかのぼって調べようがないんです。

ということで、上記の語源もあくまで「そういう説もありますよ」というレベルのものですが、私はこの説が大好きです。ポカポカ私達を照らしてくれる「おひさま」と「ひと」をつないでくれるイメージが好きです。

明日からゴールデンウィーク。雨が降る日もあるようですが、どうぞ楽しくお過ごしください。

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