【コラム】長男、大学卒業 ⇒ 就職

2002年生まれの長男が大学を卒業し、学習塾の講師として就職しました。元々学生時代から講師のアルバイトをしていた会社に就職したので、社風にも馴染んでいますし、講師としての仕事のメイン部分は経験済み。

現在は他の新卒同期と一緒に社内研修を受けています。

長男は現在、社会保険労務士の資格を取るべく勉強中でもあります。

先日、研修のレポートを書くように人事の人から指示があった際、「自宅でレポートを書くことは、労働時間に当たるのでしょうか?」と尋ねたそうです。

人事の人が「労働時間に当たります。」と答えたら、残業代の支給に結びつくところですが、「中野君はレポートを書くのが早いので、今日の業務終了時刻までに書けると思うよ。」と人事の人から切り返されたのだそうです。

長男は家に帰って私に報告がてら、「これ、今度自分が人事の立場になったら、同じようなことを聞かれるんでしょ。どう切り返せばいいか勉強になったなぁ。」とつぶやいていました。

法律をどう使うかは人それぞれですが、習いたての頃は特に、自分の権利を主張したり、相手をやりこめるために使ってしまうことがあります。

社労士に合格したばかりの頃は、私もサラリーマンでしたが、当時の経営者が「裁量労働制をうちでも導入したい」という話を持ち出したことがあります。同僚は(理由は忘れましたが)新しい労働時間制の導入を嫌がっていました。同僚の気持ちを受けて、私はみんなの前で「うちの会社では裁量労働制の導入は難しいと思います。なぜなら・・・」と経営者に向かって法律上の要件に照らし合わせながら説明をしました。

後から「中野、よく言ってくれた!」と同僚からは感謝されましたが、経営者の方はどう受け止めたのでしょう…。同僚の立場には立ちましたが、経営者の立場には立っておらず、経営者は本来、敵ではないのに、敵に見立ててやり込めてしまったように思います。

法律は権利と義務の集合体でして、悪く言えば、大人のケンカの武器や防具にもなります。私は当時の経営者に対して、覚えたばかりの法律知識を武器として使ってしまったような気がしています。

長男もまた、似たような使い方をしているような気がして、かつての自分を見たような思いがしました。それでも、多少は「自分が人事の立場になったら…」と相手の立場に思いが至った分、かつての私よりもマシ。

これからいろいろと痛い目に遭うこともあると思いますが、一つ一つ乗り越えて、大いに社会に貢献してもらいたいと思っています。

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