労働時間管理~厚生労働省より~

先日、厚生労働省より「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」という見出しのパンフレットが公表されました。パンフレット記載事項から、ポイントを抜粋してご紹介します。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。使用者の明示ま

たは黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。

たとえば、次のような時間は、労働時間に該当します。

  1. 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
  2. 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
  3. 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

また、よくありがちな違法な取り扱いの例として、以下の3つの事例が挙げられています。

  • 勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている

勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、1日の時間外労働時間のうち15分に満たな

い時間を一律に切り捨て(丸め処理)、その分の残業代を支払っていない。

  • 一定時間以上でしか残業申請を認めない

残業申請は、30分単位で行うよう指示しており、30分に満たない時間外労働時間につい

ては、残業として申請することを認めておらず、切り捨てた分の残業代を支払っていない。

  • 始業前の作業を労働時間と認めていない

毎朝、タイムカード打刻前に作業(制服への着替え、清掃、朝礼など)を義務付けている

が、当該作業を、労働時間※として取り扱っていない(始業前の労働時間の切り捨て)。

労働時間を適正に把握しないと、未払い賃金が発生します。令和6年現在、賃金請求権の消滅時効は3年です。十分ご注意ください。



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