【コラム】寄せ植え

最近、週末に住む家を新築したことで、庭に植える樹木や草花を探しに園芸店に行くようになり、それをきっかけにちょっとだけですが、植物に興味を持ち始めています。

よーく見ると、葉っぱ一つとっても、いろいろな色があります。濃い緑、黄緑、中には黄色い葉っぱもあります。白と緑が混ざった斑入りの葉っぱ。

形もよくあるラグビーボールのような形をしたもの、丸い形、ハート型、細長い葉など、個性豊かです。

もちろん、花の色・形に至っては、本当にさまざまですよね。

この中で、正解の葉や花の色、正解の葉や花の形という概念はどこにもありません。金子みすゞの詩の言葉を借りれば「みんなちがって、みんないい」ということかと。

植物の世界には「あなたは必要な花だけど、あなたはいらない」という概念はありません。庭の場合は「草むしり」と称して、不要な植物を抜きますが、これは人間の勝手な価値基準でやっていることであって、本当はいらない植物などありません。

これは動物でも同じだと思うし、ましてや人間も同じはず。

ところが、職場では「あいつは使えないヤツだ」「あいつは気に入らない。辞めてもらいたい」というような言葉が飛び交ったり、そこまでいかなくても、内心そう思ったりすることって、よくあることだと思います。まさに草むしり感覚!必要な人間だけ残して、不要な人間は排除する。

私にとっては、そういうことを言っている自分自身の敗北宣言だと思います。

愛知県に樹研工業という会社があります。ナノ単位の歯車を作る技術を持った素晴らしい会社です。数年前に亡くなられた創業者の松浦元男さんの記事を読んだところ、信じられないことが書いてありました。

  • 採用は先着順。学歴、職歴、能力、人柄一切関係なし。
  • 会社が嫌になって辞める人はゼロに近い。
  • 10年その人を見続けていれば、その人を活かす仕事を見つけることができる。

先着順なので、ワケアリの人もたくさん来るそうですが、松浦さんいわく「自分が若かった時に付き合っていた人達に比べれば、かわいいもんだ。」とのことです。一人ひとりの働きぶりを観察して、適材適所を割り当てていく。その積み重ねで素晴らしい技術力を持った集団に育っていくようです。

私は松浦さんの域には遠く及びません。松浦さんの生き方に感銘を受けつつも、やはり採用の場面では面接しております。でも、「この人は使えない」と相手に烙印を押すことは、実は「その人を活かすことができない自分こそが使えない」ということなのではないか、と思うようになりました。

いろんな草花を一つの植木鉢に植えることを寄せ植えというそうです。自分の会社、自分の家族など、自分が所属している団体も、いい寄せ植えになるように自分自身を磨き続けていこうと思います。

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