厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」リニューアル

2024年4月24日、厚生労働省は2024年10月からの社会保険適用拡大に備え、「社会保険適用拡大特設サイト」のコンテンツを大幅リニューアルしました。

主な新コンテンツは以下のとおりです。

① 人事・労務管理者向け「社会保険適用拡大のこんなとき!どうする?手引き」

② 従業員向けチラシ「社会保険加入のメリット」

          「社会保険加入を考える3ステップ」

         「社会保険加入に関するQA集」

③ 社会保険適用拡大に関する解説動画(ショート動画、5分動画)

わかりやすいサイトになっていますので、ご興味ある方はぜひご確認ください。

ただ、このサイトで公表されている「年金額・保険料シミュレーション」を見ると、正直な疑問が湧いてきます。

例えば、年間給与が120万円の人は月額保険料が9,000円となります。一方、増加する年金額は20年保険料を支払い続けて月額9,900円。毎月900円しか得をしない…。しかも、払った保険料分の元を取るとなると、何年かかるんだろう…。

さらに、このサイトでいう「保険料」とは「厚生年金保険料」のことです。実際は厚生年金保険料支払うときというのは、同時に健康保険(40歳以上65歳未満の人は介護保険)の保険料も支払うことになります。扶養されていたときと比較すれば、傷病手当金や出産手当金の保証が新たに追加されますが、これらの手当金を使う機会は滅多にありません。

理屈上は厚生年金保険料と厚生年金の比較ではありますが、実際は厚生年金保険料と健康保険料の合算額と、厚生年金の比較をしないと意味がないのではないでしょうか。

もちろん、厚生年金は「老齢」だけではなく「障害」「遺族」もカバーしていますので、老齢厚生年金だけと比較するわけにもいきませんが、そうはいっても、「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」を受給することになる確率は低いわけでして、通常の損得計算をすれば、本当にパートさんのためになっている制度なのかどうか、微妙な気がします。




中野人事法務事務所ブログ

中野人事法務事務所より人事・労務に関連する情報などをお届けします。