育児・介護休業関連制度、法改正のポイント
2023年11月20日、厚生労働省は育児・介護と仕事の両立支援策のとりまとめの方向性を示しました。厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会で年内までに制度内容を詰め、2024年の通常国会に提出する育児・介護休業法の改正案に盛り込む方針です。
詳細はコチラをご覧いただきたいのですが、次の内容が改正法に盛り込まれる可能性が高いです。
1 育児休業関連制度の拡充
(1) 子が3歳になるまでの両立支援の拡充
① テレワークの活用促進
- テレワークを子が3歳になるまで事業主の努力義務とする。
② 現行の短時間勤務制度の見直し
- 原則1日6時間とする措置を必ず設けなければならないとする現行の制度を引き続き維持した上で、他の勤務時間(例えば1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置など)も設定することを一層促す。
- 短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置に、テレワークを追加する。
(2) 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
① 柔軟な働き方を実現するための措置
- 各職場の事情に応じて、事業主が、柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢として、以下の中から、労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設ける。
a) 始業時刻等の変更
b) テレワーク等(所定労働時間を短縮しないもの)
c) 短時間勤務制度(育児のための所定労働時間の短縮措置)
d)保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配及び費用負担等)
e) 新たな休暇の付与(労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための休暇)
② 所定外労働の制限(残業免除)
- 3歳になるまでの子を育てる労働者と同様、3歳以降小学校就学前までの子を育てる労働者は、権利として残業免除を請求できることとする。
(3) 子の看護休暇制度の見直し
- 感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにする。
- 請求できる期間は、子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、小学校3年生修了時までとする。
(4) 育児休業取得状況の公表
- 男性の育児休業の更なる取得促進のため、常時雇用する労働者数が1,000 人超の事業主に義務付けられている男性の育児休業取得率の公表義務の対象を拡大し、300 人超の事業主にも公表を義務付ける。
2 介護休業関連制度の拡充
(1) 家族の介護の必要性の申出をした労働者に対する個別の周知等及び環境整備
ⅰ 個別の周知及び意向確認
- 令和3年改正により新設された育児休業制度の個別周知・意向確認の仕組みを参考に、家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、事業主が、両立支援制度等に関する情報を個別に周知し、意向を確認することを義務付ける。
- 個別周知及び意向確認の方法は、面談、書面の交付等とする。その際、両立支援制度等の利用を控えさせるような個別周知及び意向確認は認められないこととする。
- 事業主の周知に資する資料の提供や、好事例など周知を図ることで、企業の取組を支援する。
ⅱ 早期の情報提供
- 介護に直面するよりも早期の情報提供が重要であるため、介護保険の第2号被保険者となる40 歳のタイミング等の効果的な時期に、事業主が、労働者に対して、介護に関する両立支援制度の情報を記載した資料等を配布する等の情報提供を一律に行うことを義務付ける。
ⅲ 雇用環境の整備
事業主に対し、次のいずれかの措置を講じることを義務付ける。
- 介護に関する両立支援制度に係る研修の実施
- 介護に関する両立支援制度に関する相談体制の整備
- 介護に関する両立支援制度の利用事例の収集・提供
- 介護に関する両立支援制度及び両立支援制度の利用促進に関する方針の周知
(2) 介護期のテレワーク
- テレワークは、通勤時間の削減や、遠隔地に住む家族の家からの業務実施が可能となり、フルタイムで働く日を増やすことも可能になる効果が期待される。一方で、介護中の労働者がテレワークを行うことにより、労働者本人に負担が生じることも想定されることを考慮し、テレワークについては選択的措置義務とはせず、努力義務とする。
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