【コラム】長生きして、何をしたいの?

2011年2月から数年間、東洋思想を学ぶ教室に参加した頃のお話です。

入学した翌月に東日本大震災があり、一時期は水蒸気爆発した原発から放射能が漏れ出てくるのではないかと心配になり、外出を控えておりました。

3月は授業はあったのですが、自分の身の安全を考え不参加。

4月になって、なんとなく目の前の危機が過ぎ去ったような気がしてきて、再度通い始め、先生にご挨拶。

「先生。先月は休んでしまって、失礼しました。放射能にビビって来れませんでした。」

「中野さん、高杉晋作って、いくつで亡くなったか知ってる?」

「えっと、20代後半くらいでしたでしょうか。」

「坂本龍馬は?」

「彼も30歳になるかならないかで死んだような気がします。」

「中野さんは長生きして、何をしたいの?」

ゲゲッ!!そう来たか〜。

人間、ピンチに陥ったときに本性が出てくるもんです。長生きするに越したことはありませんが、長生きすることが目標なのではなく、限りある人生をどう使っていくか。この視点ありますか?と問われたような気が致しました。

それから時が流れて2023年11月30日。心臓の鼓動が突然おかしくなり、命の危機を感じて病院へ。医師からは「慢性心不全」と言われ、帰り道で「慢性心不全 5年生存率」で検索したところ、なんと50%!!仮に5年後生きていたとして、どんな状態で生きているんだろう?

それから数日間「自分の命はあと数年かもしれない」という気持ちで過ごしていました。残り数年間、どうやって生きていこうかなと思いを巡らしましたが、出てきた答えは「今まで通りの過ごし方を継続しよう」。

私にとっての「今まで通りの過ごし方」というか、過ごし方のスタンスは、周りの人を元気にする(笑顔にする)お手伝いをすることです。実際はできていないこともあり、反省することもしばしばですが、これ以外の生き方は考えられません。

昔はこれとは真逆の生き方をしていました。他人を踏み台にしたりはしませんが、他人と自分を切り離し、自分の幸せだけを追求する生き方でした。この生き方はどこかでつまづきます。というか、私は大きくつまづいてしまいました。

自分を犠牲にして他人に尽くすということでもありません。周りの人の元気や笑顔と、自分の元気や笑顔を重ね合わせていくような感じ。長い間、これを繰り返していくと、自分自身が笑顔に囲まれて生きているような感じになります。これほど幸せなことはありません。

・・・これも合わせて伝えておかないと心配させて終わりになってしまうので、申し上げておきます。先日、心臓の専門医に確認したところ、今は「慢性心不全」ではないそうで、「発作性心房細動」ということだそうです。大目のアルコール摂取をしない限り、発作は起きたことがありません。「少なくとも平均寿命くらいまでは生きていられるよう、サポートしますから安心してください。」と言われ、ホッとしています。

普通の人の2倍くらいに肥大していた心臓も、普通の大きさに戻りました。自主的にアルコールは制限しておりますが、その他食べ物・飲み物・運動などで制限はありません。心臓をおかしくしたおかげで、自分自身の価値観を見つめ直すことができ、健康にも気をつけるようになり、もしかしたら災い転じて福となしているのではないかと思っています。

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