【コラム】ゆるす
人事・労務のご相談をお客様からいただいていますと、1週か2週に1回くらいは社長さんとスタッフの間のトラブル話を伺います。
人間関係のトラブルというのは、だいたい「オレが正しい。相手が間違っている。」という主張です。この主張をお互いが持っています。
他人のことは言えません。私も自分の人生を振り返れば、同じような思いを抱えたことは何度もあります。
そんな中、以前、知人から「【間違っている】というモノの見方はやめた方がいい。単に【違っている】だけなんだ。」と教わりました。
確かに、絶対的な正しさなど滅多にありません。自分が正しいと決めているのは自分だけ。周りはそう見ていないことだってあります。現に相手は私が正しくないどころか、間違っていると思っています。
そう思い直して、極力、「正しい・間違っている」というモノの見方をやめるように心がけるようになりました。
ただ、それでも時には「さすがにこれはないだろう!」と腹が立つことあります。
腹が立つと、血圧が上がり、顔つきも怖くなり、気分も最悪です。正直、思い出すたびにイヤな気持ちを味わいます。
一方、相手はどうか。私が悶々とした思いを抱えていても、相手はそんなことはつゆ知らず、楽しく過ごしているかもしれません。
相手のせいで気分が悪いと思っていても、結局苦しいのは自分だけ。自分の人生、嫌な気持ちで過ごすことはご免こうむりたい。
そう思っていたら、先日「ゆるす」という言葉の語源に巡り合いました。
ある説によると、「ゆるす」の語源は「ゆるゆる」・・・「自分の心をゆるめる」ことなのだそうです。
許すというのは相手のために許すのではなく、気持ちが固くなりがちな自分の心をゆるめるためにあるというなんですね。
相手を思い出しても、自分の心をゆるめることができれば、腹立たしい気分を味わわなくて済む。昔の日本人って、深いことを考えていたんだなーと思いました。
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